受講理由の見本

しかし、その手書きの字はワイフのものではない。内容を見れば、申し込み時の「受講理由」の見本を誰か別の人に書いてもらったか、友人に自分の分も申し込ん でもらったようである。その受講理由には、次のように書かれている。 『私はかねてから、お年寄りの方々と関わりたいという強い希望を持っております。 そのため、前回の講習も申し込みましたが受講できませんでした。ヘルパ の二級課 l 程を修了し、自信を持ってお年寄りの方々と接したいと心から願っています。 人生の先輩である方々に接し、自分を磨くと共に自分の手を貸すことによって、お年寄りの笑顔が見られることを夢に見ています。ぜひとも、今回の講習が受講できますよう、よろしくお願い申し上げます』 切実なアピール文である。入学願書によくある「当校を選んだ理由」と比べても、真剣さが充分感じられる。二回目の挑戦ということも選考者の気持ちを引き付けそうだ あみだくじH抽選でなければ、訴えは通じそうではないか。 しかし、やはり字が別人というのがかなり気になるところだ。後で聞いてみようと思 う。想像が当たっているかを確かめるためにも。    応募する時点においても、何か経緯なりがあったということだし、二回目の応募とい うことは聞かされてなかったので、抽選に当たるまでにも、それなりのドラマがあった と言えそうである。これについても確かめることになりそうだ。 何しろ私は仕事柄、日頃、相場を読むことばかりしている。


出典:介護職員初任者研修を最短取得

理想を超えた理想

これらの精神的な基盤の上に、正確な知識に裏打ちされた技術を備えること、とでも解釈するのであろうか。 これは、よく考えれば、理想を超えた理想と言うべき内容ではないか。 あろうかと思わずにはいられない。経済的な話題が入り込む余地など微塵も感じさせな いのだから。 また、「家事援助の目的」「家事援助の基本」という資料には、次のような標語的な言 葉、宗教的な奉仕の精神とも言える言葉が、額に入ったように掲げられている。 『その人がその人らしく生きるために あなたは、その人の手の代わり足の代わりに成りきれますか してあげる、のではなく させていただく、のではなく:::収入を得るためでなくただ、黙して語らぬあたたかい心で』 最後の行のすぐ下に 高尚な動機 ワイフによれば   自己を主張しない とワイフのメモが書き込まれであった。  名の講習生はどのような動機でこの場に臨んでいる人達なのであろうか。ト仕事にホ ムヘルパ lを選択肢としたい人だけでなく、むし ろ将来家族を看るため、また今家族を面倒看ているので役立てたい、いずれ自分も介護される立場になった時の受け止め方の勉強になる、資格をとって人の役に立ちたいなど、経済的な動機ではない人が結構多かった、と話してくれた。      ガラスのホームヘルパー なんと皆前向きで真面目な態度ではないか、と感心した。ファイルの中に、往復ハガキの返信用のコピーがあった。あて先はワイフの名前になっている。

参考:

医療関連の言葉

医療関連ということもあって、固い言葉が目に飛び込んでくる。 「介護概論」、「障害・疾病の理解(医学的理解)」、「リハビリテーション医療の基礎知 識」、「医学の基礎知識 」などいわゆる学究的なタイトルである。また、「共感的理解 と基本的態度の形成」という心理学の科目もある。  当然のこととして、「在宅看護の基礎知識」「基本介護技術」などの中心的な科目はその回数も多く割当てられている。初日の講義ノ トを見れば、ワイフの見慣れた手書きの文字が、講習が始まったばかりのせいか、結構丁寧に書き込まれている。 17  ガラスのホームヘルパー  l 「ホ ムヘルパーという専門職を形成する条件」は、何と厳しく次元の高いものなので 午後の内容のようだ。福祉理念とケアサービスの意義   生活を援助する専門相談、介助  等々、講 習生が初めの頃の緊張感のなか、メモっているという感じが伝わってくる。 ホムヘルパーという専門職を形成する条件 という言葉の下には、三角形の概念図 があって、一番上に「技術」、二段目には「知識」、三段目には「理念、倫理」、一番下 の土台となる部分には「人格、人間性」という文字が書き込まれている。 「知識があっての技術」「ノマライゼ シヨン」「個人の尊厳」「誠実・感性の豊かな  人」などの言葉が、各段階のところに記されている。 まずは、①誠実な人格、感性豊かな人間性を持つこと②個人の尊厳を理解し、高い倫理観にまで高め得ること。

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主婦にとって体を動かすことは

とにかく、講義を何時間も聴き続けるなどということは、ワイフにとって、二 年以上も昔に経験して以来のことになる。主婦として体を動かすことは得意科目といえる分、講義を聴き続けることには、ある意味苦痛も伴ったようだ。午後には忍び寄る睡魔との闘いもあっただろうし。 l 精神面の充実が要請される さて講義内容をみると、初めに「ヘルパ lの職業倫理」とある。 このような導入の仕方を見れば、正式な学問的な体系が整えられている感がする。 私の領分である「証券アナリストの職業倫理」を思い出してしまったが、まずは職業  倫理からというのは、この領域の特質を表わしているのかもしれない。「証券アナリスト」の場合、職業倫理は最後の部分で触れた気がするし、計算問題を解 O けるようにさせて合格を目標とする予備校では、そもそも時間は割り当てていなかった。「後で読んでおくように」の類のセクションということか。今はどのように扱われているか分からないが、この点は大いに違うように感じられる。 もちろん、証券ビジネスでは倫理観が疎かにされているなどと自ら進んで卑下するつもりはないのだが、医療は「命」を扱い、証券ビジネスが扱う「お金」は、命の次に大 l 切なものと響えられるからかもしれないと思ってもみるのである。医療の一分野である介護は、人間を直接手で扱い、また人間と人聞が触れ合う分野であるゆえに、理屈より実践、心構えや精神が何より大切ということなのだろう。

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専門学校での出来事

あまりの記憶力の減退に傍然としたことを思い出す。週末、東京水道橋にある専門学校へ通ったのだが、一週間前の講義内容がノ トを見てもほとんど正確に、というより全く思い出せなかった。ひどいものだった。したがって、覚えるためには、事実、何度も何度もただ繰り返すしかなかった。一次試験、翌年の二次試験と首尾よく連続で合格と相成ったのだが、思いのほか達成感を味わえなかった気がする。 周囲はよくやったと言ってくれたが、何でも解けるほどの出来栄えでなかったことや、次の年の二次試験準備期間においては、前年の一次試験の内容がほとんど記憶の彼方に消えてしまったからだと感じている。 訓練次第で、記憶力は年齢には関係ないと言われる。しかし同年代であれば、誰しも 思い当たるのではないだろうか。  話がややそれてしまったようだ。言いたいことは、覚えの悪さに閉口した経験から、ワイフは私より数年若い四十代前半とはいえ、記憶力の減退は彼女にとっても同様であったに違いないと同情していたから、その返答が意外だったのである。 l ガラスのホームヘルパー  テストに合格しなければ資格がもらえない場合と、コースを無事修了すればよいという場合とでは、記憶するというプレッシャーに関しては、確かに大違いであろう。ワイフの弁では、覚えるということより、講義の場所に何時間も座り続けなければならないこと、つまり講義形式の科目は時間中それなりに辛かったようである。

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